2016年2月20日 09:39
 
運動だけで痩せられないのはなぜ?
2016.2.1 , EurekAlert より:  
           

たくさん運動するほどカロリー消費量も増えるとは限らない?! 運動するだけではダイエットが成功しない理由がここにあるかもしれない。米国ニューヨーク市立大学による研究。

私たちの身体は、運動量の増加に適応するようになっている。そのため、身体をより多く動かしても、残念ながらエネルギー消費量が増えるとは限らないという。

今回の結果は、毎日のエネルギー消費における身体活動の効果を考え直す時が来たことを示している。さらに、ダイエットの目標をサポートするうえでの食事と運動の重要性を、改めて知らせるものだ。

「運動は、健康にとって本当に大事なものです。私たちの研究は、運動が身体と心を健康に保つというエビデンスを揺るがすものではありません。ただ、体重管理や不健康な体重増加を防ぐためには、食事にも重点を置く必要があることが示されたのです。」とニューヨーク市立大学のポンツァ氏は話している。

大規模な比較研究によって、非常に活動的に生活している人たちのエネルギー消費は意外にも、座位時間の長い人たちと同程度であることが示されたという。

ポンツァ氏は以前、タンザニアの狩猟採集民族であるハッツァ族の調査をしている際に、このことに度肝を抜かれたと話す。

「ハッツア族は信じられないほど活動的です。毎日長い距離を歩き、ハードな肉体労働をたくさんしているのです。このような高い身体活動レベルにも関わらず、彼らのエネルギー消費はヨーロッパや米国などの現代的な生活様式で暮らす人たちと同程度だったのです。本当に予想外でした。
このことから、活動量とエネルギー消費の関連について考えるようになりました。」

今回の新しい研究で、ポンツァ氏らは300人以上の男女を対象に1週間、エネルギー消費と身体活動量を測定した。すると、被験者たちは身体活動量は少ないものの、日々のエネルギー消費にとってはかなりの効果をもたらしていることがわかった。

しかし、さらに分析をすると、このパターンは身体活動レベルが低めな人たちにのみ当てはまることが示された。

身体活動レベルが中程度の人々は、最も低いレベルの人々に比べエネルギー消費量が200kcalほど多かった。だが、中程度以上の身体活動レベルをもつ人々のエネルギー消費量は、中程度の人と変わらなかったのだという。

研究者らは、身体活動が増えればエネルギー消費量も増えるのは当然、と考えるのはやめるべき時がきたとしている。身体活動には「スイートスポット」のようなものが存在するのかもしれない。活動量が少なすぎれば不健康だが、多すぎる場合、身体は適応するために大きな調整を行うようだ。

ポンツァ氏らは今後、身体活動レベルの変化に身体の免疫機能や生殖器系等がどのような反応をみせるかを調査する予定とのこと。