2016年3月18日 20:27
  

レム睡眠は、睡眠の5つの段階のうちの1つで、急速な眼球運動がみられ、夢をみる段階のことである。良質なレム睡眠の不足は、慢性不眠症に関連するといわれてきた。さらに、最近の報告によると、不眠症の患者では“悪い”“休めない”レム睡眠がみられ、このことが精神的苦痛を克服する能力を低下させ、慢性うつ病や不安を生じさせうることがわかったという。

この知見はオランダ神経科学研究所(アムステルダム)のRick Wassing氏らの研究で示唆され、論文が「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」オンライン版に2月8日掲載された。

従来、レム睡眠は感情の調節に関与する可能性が高いといわれてきた。よいレム睡眠の重要性を調べるため、Wassing氏らは最初に、オランダ睡眠レジストリに登録された約1,200人(平均年齢52歳)に質問票を記入してもらった。回答者は、主観的な不眠の重症度、精神的苦痛、覚醒、夜間の思い悩みについて報告した。

次に、女性19人男性13人(平均年齢約36歳)を対象として、2晩の実験室での睡眠モニターを実施した。対象者の半数は睡眠障害の既往がなく、半数は不眠症があった。脳波を記録して睡眠の段階を特定した後、全対象者に夜間の思い悩みの経験についてのアンケートに回答してもらった。

脳の活動記録と、夜間の苦痛についての報告を比較した結果、レム睡眠が多く妨げられるほど、精神的苦痛を忘れることが難しかった。そして、苦痛が高まると覚醒感も高まり、安らいだ夜の睡眠をとることがますます難しくなったという。

Wassing氏らは、「レム睡眠が妨げられると精神的苦痛が蓄積される可能性がある。今回の結果は、この蓄積が最終的に過覚醒の“悪循環”につながることを示している」という。


More information

There's more on sleep at the U.S. National Institute of Neurological Disorders and Stroke.

SOURCES: Rick Wassing, Ph.D. candidate, Department of Sleep and Cognition, Netherlands Institute for Neuroscience, Amsterdam; Janis L. Anderson, Ph.D., associate psychologist, Department of Psychiatry, Brigham & Women's Hospital, and assistant professor of psychology, Department of Psychiatry, Harvard Medical School; Feb. 8, 2016, PNAS

Last Updated: