最近の多くの論文で、ビタミンDの健康効果について報告されています。ある新しい研究では、外出ができない高齢者を対象とし、ビタミンDのサプリメントでビタミンD値を高めれば骨折発生率が下がる可能性があるか調べました。
この研究の被験者は、外出ができないことから、日光に多く当たってる可能性が低く、また、それと併せて高齢ということは、皮膚に紫外線が作用して生成されるビタミンDの量があまり多そうにない、ということを意味します。
被験者は65~102歳の成人68人でした。研究グループは、ミールズ・オン・ホイールズ(在宅の老人や高齢者に食事を運ぶサービス)のプログラムを利用して、プラセボもしくは100,000
IUのビタミンDを月1回、被験者に与えました。
この量は、1日当たり3,300
IUという平均的な1日用量の1カ月分に相当します。ビタミンDは脂溶性であり、水溶性のビタミンより長く体内にとどまるため、月1回の投与でも不当ではなく、また、回数が少ないほうが被験者が従いやすいのです。プラセボは、1カ月分の低用量ビタミンEでした。
試験開始時に調べた血清ビタミンD(25(OH)D3)値が、欠乏とみなされる20
ng/mL未満であった被験者の割合は57%でした。
上記の処置を5カ月施した結果、終了時の検査でもビタミンD値が低かったのは、ビタミンDを与えたグループでは1名のみでした。一方、プラセボグループでは25人のうち18人が20
ng/mL未満のままでした。(20~40 ng/mL以上が健康的な値ですが、最適な健康状態とするため40~60
ng/mL、もしくはさらに高くするよう勧めている専門家も多くいます。)
5カ月後の結果にもとづく統計分析により、処置グループ(ビタミンDを与えたグループ)のほうが対照グループより転倒率が58%低いことがわかりました。(Houston
DK, et al., Delivery of a Vitamin D Intervention in Homebound Older Adults Using
a Meals-on-Wheels Program: A Pilot Study. J Am Geriatr Soc. 2015 Aug 16. doi:
10.1111/jgs.13610.
[印刷物に先行した電子出版])
それより前、2010年に公表されたある研究では、デザインが異なり、違う結果が得られています。ただし、その研究は、500,000
IUという年間用量のビタミンDを1回投与したもので、処置グループのほうがプラセボグループより骨折率と転倒数がわずかに高いという結果が見られています。前述の新しい研究では、合計500,000
IUのビタミンDをちょうど5カ月に分けて用いる形としました。
また、2010年の研究は、外出ができない人を対象としたものではなく、試験開始時点での被験者のビタミンD値がこちらの方が高かった(重度の欠乏症である人の割合が3%未満であった)という点で異なっています。(Sanders
KM, et al., Annual high-dose oral vitamin D and falls and fractures in older
women: a randomized controlled trial. JAMA. 2010 May
12;303(18):1815-22.)
【コンクリュージョン】
サプリメントを用いてビタミンD値を高くすれば、多くの健康効果が得られます。転倒は、入院や永久的就労不能を招いたり死につながることも少なくないので、深刻な健康問題となります。
血清中のビタミンD値を調べてもらい、十分なサプリメントを摂ることにより、ビタミンD値を40~60
ng/mLまで引き上げることをお勧めします。そのためには通例、1日当たり2000~8000
IUのビタミンDを摂る必要があり、この量は、年齢や日光暴露量、住んでいる場所、食事内容、個人の代謝量によって異なります。