大豆に含まれるたんぱく質の一種である「βコングリシニン」を摂取すると、脂肪組織での脂肪分解を促すホルモン様因子であるFGF21の血中濃度が、摂取後ただちに著明に上昇することを、東京大学大学院農学生命科学研究科の佐藤隆一郎氏らの研究グループが、マウスを用いた実験で突き止めた。
肥満予防や脂質・糖代謝の改善をもたらすβコングリシニンの作用機序が解明され、生活習慣病予防でのさらなる活用が期待される。詳細は「Scientific Reports」オンライン版に6月17日掲載された。
大豆たんぱく質の主要成分であるβコングリシニンには血中中性脂肪や内臓脂肪の低減作用があるとの報告から、日本では機能性表示食品として市販されている。同氏らは、βコングリシニンによるこれらの作用機序を解明するため、マウスを用いた実験を行った。
まず、βコングリシニンまたは乳たんぱく質のカゼインをそれぞれ20%含有した高脂肪食をマウスに9週間摂取させたところ、βコングリシニン食摂取群では体重増加が有意に抑制されたほか、脂肪組織の重量や肝臓中のトリグリセライド(TG)量が減少し、血糖値や血中インスリン濃度が低下することが認められた。
こうした生理作用はβコングリシニンの摂食直後から生じると想定されたことから、同氏らは、絶食マウスにβコングリシニン食を6時間投与し、その肝臓を用いて網羅的な遺伝子発現変動を解析した。その結果、こうしたマウスでは1回の摂食でFGF21の遺伝子発現が著明に上昇し、血中濃度も有意に増加することを見いだした。
同氏らによると、FGF21は絶食により上昇し、摂食により減少する遺伝子であることが知られており、βコングリシニン食の摂取により、絶食時よりもFGF21の発現が上昇したのは驚くべき結果だとしている。
また、FGF21欠損マウスにβコングリシニン食を摂取させたところ、こうした肥満抑制、代謝改善効果は減弱したことから、βコングリシニン食によるこれらの効果はFGF21を介したものであることも判明したという