食物繊維は、食品の消化されない部分であり、ほとんどそのままの形で腸管を通過します(一部は下部結腸で微生物によって発酵されます)。とはいえ、食物繊維は決して、取るに足らないものではありません。
これは、腸機能を助け、結腸をきれいにし、毒素を吸収し、また、満腹感を覚えさせて食欲を抑制するのに役立ちます。食物繊維を多く含む食事には、多くの疾患のリスク低下との関連が見られており、こうした効果は、食物繊維そのものに関係している部分もあれば、食物繊維を多く含む食品に見られるその他の数多くの栄養素に関係している部分もあると思われます。
食物繊維を多く含む食品には、全粒穀物、豆類、野菜、果物、種子類(ゴマや、ヒマワリの種、カボチャの種など)があります。
全米健康栄養調査の一環として収集された情報には、食事での摂取量、および肺機能を示す肺活量測定値のデータも含まれていました。
ある研究グループが、肺活量の測定値と食物繊維の摂取量のデータが両方とも入手可能であった参加者1,921人について評価を行いました。肺機能検査の1つは強制呼気容量1(FEV1)と呼ばれるもので、呼気開始から1秒間に強制的に吐き出すことができる空気の合計量を調べます。
もう1つの検査は強制肺活量(FVC)と呼ばれるもので、息を1回完全に吐き出して強制的に出すことができる空気の合計量を調べます。
食物繊維の摂取量が最も多かったグループでは、その摂取量が最も少なかったグループと比較して、強制呼気容量1の値が82
mL高く、強制肺活量の値も129
mL高くなっていました。
強制肺活量については、過去に、長寿の予測に関連付けられています(肺機能が高いほど寿命が長くなると予測されました)。全体的な分析では、食物繊維の摂取量が多いほうが、肺機能が正常である人の割合が高くなり、気流制限がある被験者の割合が有意に低くなるという関連が見られました。(Hanson
C, et al., The relationship between dietary fiber intake and lung function in
NHANES. Ann Am Thorac Soc. 2016 Jan 19. [印刷物に先行した電子出版])
【コンクリュージョン】
西洋式の食事に含まれる一般的な食物繊維量は10~15
gです。ガイドラインでは、1日当たり25
gの食物繊維を摂る努力をするよう推奨されています。1
950年代にデニス・バーキットが調査した現地アフリカ人の食事には、約100 gの食物繊維が含まれていました(現地アフリカ人は、きわめて運動量の多い生活をしていたため、当然、大量の食料を食べていました)。その主食はジャガイモ、バナナ、コーンミール、豆類で、これはどれも食物繊維を多く含んでいます。動物性食品には食物繊維は含まれていないため、私は1975年以来、獣肉も鳥肉も食べていません。
オーガニックの無脂肪ヨーグルトを食べるときは、バナナやベリー類(ブルーベリー、ラズベリー、イチゴ)を入れて、食物繊維不足を補います。クルミやアーモンドもよく入れます。食物繊維が多い食品には、他にも数多くの栄養素が含まれており、そうした栄養素が、ここで見られた健康効果の全部または一部に寄与していると考えられます。