2016年11月14日 20:55

現在、わが国は総人口の4人に1人以上が高齢者という超高齢社会の真っただ中にある。高齢社会の進展の特徴として、75歳以上の後期高齢者の増加が目立っている点があげられる。すでに75歳以上の後期高齢者は総人口の13%に迫っており、前期高齢者とほぼ同程度に達した。

こうしたことから「趣味やスポーツを通じ、老後の生活を充実させたい」というように高齢者の意識は変化。栄養と運動を中心とした包括的な取り組みによる健康寿命の延伸が望まれていることから、アクティブシニアサポート市場が拡大している。

同分野は潜在需要が大きく、健康食品、食品メーカーでは「数少ない成長分野」「新制度との連動などあれば急速に拡大する可能性もある」とみる。ニーズの高さを反映して、抗ロコモ、サルコペニア対策などの商品開発に拍車がかかっている。

■元気な前期高齢者、虚弱目立つ後期高齢者
アクティブシニアとは、自分なりの価値観をもち、定年退職後も趣味や活動に意欲的な人たちのことを指す。以前の高齢者と比べ、体力は飛躍的に向上。スポーツにいそしむ人が増えたこともあり、17年連続で体力や運動能力は向上している(スポーツ庁調査)。

その一方で、健康寿命と平均寿命の差は現状で9 ~12年ほど。今後も平均寿命は延びる傾向にあるが、ギャップを縮めることが社会保障費の削減や介護負担の低減などにつながる。現在は1 対1 という前期高齢者と後期高齢者の比率だが、2055年には前期高齢者が1,260万人、後期高齢者が2,390万人と1 対2 になると見込まれている。

わが国の高齢者は体力が著しく向上しているが、その多くは前期高齢者で、75歳以上の後期高齢者について、桜美林大学老年学総合研究所所長の鈴木隆雄氏は「心身の機能の減衰は避けられず、虚弱(フレイル)が顕在化し要介護状態を予防することがもっとも喫緊の課題である」と指摘している。

後期高齢者における運動や精神面での機能低下は“老年症候群”と呼ばれ、主に転倒がその兆候となり、骨粗しょう症と連動する形で大腿骨頸部骨折などを引き起こす。

これが日本の高齢者が寝たきりになる大きな原因として知られている。予防については前期高齢者のうちに対策を講じる必要があり、栄養と運動による介入研究が実施されるようになった。




健康産業新聞第1606号(2016.10.19)より一部抜粋