ビタミンEは、酸化ストレスによって誘発される細胞損傷を低減する抗酸化物質として重要です。こうした酸化損傷は、老化の進行の一因となります。
老化の臨床研究は、必要となる期間があまりにも長すぎ、また、きわめて費用がかかるので実施が困難です。
そのため我々は、他の研究から得られた情報にもとづいて推定する必要があります。ある研究グループは、培養した内皮細胞と線維芽細胞を用いて、様々な期間にわたって様々な濃度のビタミンEで処理する試験を行いました。
この研究では、化学的検査や染色剤など、いくつかの方法を用いて、加齢細胞の数を評価しました。ビタミンEによる処理は、短期でも長期でも、加齢(老化)細胞の数に減少をもたらしました。
ビタミンEの処理時間が長いほうが、短期の処理の場合より、有意に高い老化減少効果が見られました。この情報は、ビタミンEを用いた長期の処置によって老化のプロセスが遅くなる可能性を強く示唆するものであり、これは、抗酸化物質に関する他のいくつかの研究結果とも一致しています。
(La
Fata G, et al., Vitamin E supplementation delays cellular senescence in vitro.
Biomed Res Int. 2015;2015:563247. doi: 10.1155/2015/ 563247. Epub 2015 Nov
3.)
【コンクリュージョン】
食事において、ビタミンEは、ヒマワリの種やアーモンド、ホウレンソウ、スイスチャード、アボガド、ピーナッツなどに少量含まれています。
しかし、臨床研究で使われているほどの量を摂るのは困難です。ビタミンEを1日200~2,000 IU摂ると、アルツハイマー病、パーキンソン病、関節リウマチ、跛行(運動時の足の痛み)、心疾患および免疫機能に効果があることがわかっています。
上記の研究では合成型のビタミンE(dl-αトコフェロール)が使われましたが、お勧めは、それより効果が高い天然型のビタミンE(dl-ではなくd-αトコフェロール)、ならびにβ、γ、δという他の形態のビタミンE、とくにγ-トコフェロールです。私が摂っているカプセル(1錠)は、γ-トコフェロールを多く(750mg)含むもので、それに加えてd-αトコフェロールが200 IU、βとδの混合トコフェロールが290 mg入っています。