2017年2月20日 13:33
 

                          

ビタミンCは、心臓手術後の心房細動のリスクを低下させる可能性があるようだ、というフィンランド・ヘルシンキ大学からの研究報告。

心房細動(AF)は、一般的な心律動障害であり、脳卒中や心不全などの重篤な結果につながる可能性がある。心房細動は様々なストレス状態によって引き起こされ、心臓手術を受ける患者の約30%が術後心房細動に苦しむという。

研究チームは、高リスク患者の心房細動にビタミンCがもたらす予防効果について、システマティック・レビューを実施した。研究者らは、心臓手術を受けた患者を対象とした無作為化試験14件における合計2006人の患者、および、電気的除細動が成功した後の心房細動の再発について調査した1件の試験における44人の患者を対象とした。

心臓手術14件にはかなりの多様性があったが、米国で行われた5件の試験と米国外で行われた9件の試験に差異があるものとして説明できたという。米国で行われた5件の心臓手術試験では、ビタミンCは術後心房細動に効果がないことが判明した。

これに対して、米国外で行われた9件の心臓手術試験では、術後心房細動の発症率が平均44%減少し、これら9件の試験において、多様性は認められなかった。後者の試験のうち、5件はイランで、2件はギリシャで、1件はスロベニアで、もう1件はロシアで行われた。

ギリシャで実施された1件の調査においては、電気的除細動が成功した後の心房細動の再発について調べられた。その結果、ビタミンCによって、再発リスクが、87%減少することが確認された。

米国以外の心臓手術試験においては、ビタミンCによって、入院期間が12.6%短くなり、集中治療室での治療が8.0%減少したという。

米国以外での調査において、手術患者の一部にはビタミンCを経口投与したが、その他の患者にはビタミンCを静脈内投与した。静脈内投与では、血液中のビタミンC濃度が大幅に上昇するので、2つの投与方法の効果は異なる可能性があるようだ。

ビタミンCの経口投与では術後心房細動の発症は73%減少したが、静脈内投与では36%減少した。一方、経口投与では入院期間が7%(0.4日)短縮したにすぎなかったが、静脈内投与では16%(1.5日)減少した。つまり、ビタミンCの静脈内投与は、入院期間に対して比較的大きな効果を与えたが、術後心房細動の発症に対する効果は比較的少ないものであった。

出典は『BMC 心臓血管系障害』。