2017年6月17日 10:22

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野菜や果物の摂取量が多い人では、下肢の動脈が閉塞してさまざまな症状を引き起こす末梢動脈疾患(PAD)を予防できる可能性のあることが、「Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology」オンライン版に5月18日掲載された論文で報告された。

「この知見は、普段の食生活に野菜や果物を積極的に取り入れることが重要とするさらなるエビデンスとなるものだ」と、研究著者である米ニューヨーク大学医学部のSean Heffron氏は述べている。

PADでは下肢の動脈が閉塞して血流が不足し、歩行や立つことが困難になり、下肢にしびれや痛みが生じる。その多くは動脈硬化が原因とされている。

この研究では、病歴や生活習慣に関する質問票に回答し、PADのスクリーニングを受けた平均年齢64歳の男女約370万人のデータを解析した。対象者のうち約6割が女性であった。なお、PADは足関節上腕血圧比(ABI)0.90以下と定義した。

その結果、野菜や果物の摂取量とPADの有病率との間には負の関連が認められ、野菜や果物を1日に3サービング以上(1サービングは生の葉野菜で1カップ、調理した葉野菜やそれ以外の野菜では2分の1カップ、リンゴやバナナ、オレンジは中1個を指す)摂取する人では、摂取量が少ない人に比べてPADの発症リスクが18%低いことが分かった。

また、対象者のうち、高齢の白人女性では野菜や果物を1日に3~4サービング摂取する人が多かったが、若い黒人男性では摂取頻度は低いことも明らかにされた。また、これらの摂取頻度が低い喫煙者や過去に喫煙していた人で特にPADリスクが高かったという。

同氏は「野菜や果物を食べることの重要性を広く周知させるとともに、PAD患者には、医療者が食生活を評価してカウンセリングを行う必要があるだろう」と述べている。

これまでの研究で、野菜や果物の摂取頻度が少ないと心疾患や脳卒中の発症リスク増加と関連する可能性が示されているが、PADとの関連を検討した研究はほとんどなかった。

今回の研究はこれらの関連性を示したに過ぎないが、「普段の食事に野菜や果物を足すだけで生命に危険を及ぼすPADの予防につながるという、公衆衛生上で重要な情報をもたらすものとして重要な知見だ」と、共著者である同大医学部のJeffrey Berger氏は付け加えている。


More information

The U.S. National Heart, Lung, and Blood Institute has more on peripheral artery disease.

SOURCE: Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology, news release, May 18, 2017