■タイトル
厚生労働省と東京都が「MDクリニックダイエット」と称される製品による健康被害事例を公表 (171109)
■注意喚起および勧告内容
2017年11月9日、厚生労働省と東京都が「MDクリニックダイエット」と称される製品 (下記の一覧参照:写真は東京都報道発表資料より加工転載) による健康被害の事例を公表。当該製品を使用しないように、また、使用して体調に不安を感じている場合は医療機関を受診するとともに保健所に連絡するように勧告。
| 写真 | 検出された医薬品成分 |
![]() | ヒドロクロロチアジド |
![]() | シブトラミン |
![]() | チロキシン |
![]() | シブトラミン フルオキセチン |
![]() | クロルフェニラミン |
![]() | アスコルビン酸 |
![]() | ビサコジル |
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■解説
20代女性が、個人輸入した当該製品を服用したところ、悪心、手足のしびれ等を生じた。任意提出された当該製品を分析したところ、医薬品成分が検出された。
「MDクリニックダイエット」「ヤンヒーホスピタルダイエット」などと称される製品について、過去にも医薬品成分の混入や死亡事故を含む健康被害の事例が報告されている。重篤な健康被害を起こすおそれがあることから、個人輸入にあたって「数量に関わらず厚生労働省の確認を必要とする医薬品」に指定されており、厚生労働省は啓発資料を作成し注意喚起を行っている。
■関連成分
ヒドロクロロチアジド (hydrochlorothiazide)
利尿作用のある医薬品成分で、日本でも医薬品として承認されている。副作用としては食欲不振、悪心・嘔吐、腹部不快感、脱力感、低カリウム血症などが報告されている。
シブトラミン (sibutramine)
シブトラミンは、1997年に肥満抑制薬としてアメリカのFDAの許可を受けたが、日本では未承認。副作用として血圧上昇及び心拍数増加などが報告されており、心臓病の方は服用を避けたほうがよいとされている。アメリカ国内において、許可されてから2003年8月までに54例の死亡事例 (うち30例は心血管が原因) が報告されている。2005年8月、FDAはシブトラミンの使用停止に関する消費者団体の請願書に対し、シブトラミンの使用に細心の注意を呼びかけ、その安全性を監視することにより、引き続き医薬品として承認していくことを公表。その後、欧州で実施されたSCOUT試験 (Sibutramine Cardiovascular OUTcome Trial) による、心血管疾患歴のある患者では心血管疾患再発リスクが高くなるという結果をうけて、2010年10月、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでメーカーによる任意回収が決定した。また、開発したメーカーはすでに販売・流通を中止している。2010年11月、インド医薬品規制当局 (Drugs Controller General of India、DCGI) がシブトラミンの販売を禁止。
甲状腺ホルモン (Thyroid hormones)
国内では医薬品として承認。これは甲状腺機能低下症やクレチン病、甲状腺腫などに使用されるが、副作用としては狭心症やショック、うっ血性心不全などが知られている。心筋梗塞直後の患者に対しては使用禁忌。
フルオキセチン (fluoxetine)
海外では医薬品としての承認があるが、国内では未承認。うつ病やうつ症状に用いられる。副作用としては悪心・嘔吐、下痢、食欲不振、頭痛、睡眠障害等が報告されている。
クロルフェニラミン (chlorpheniramine) 、フェニラミン (pheniramine)
抗ヒスタミン薬として、アレルギー性疾患 (蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、結膜炎など) に使用されている。眠気を伴うことが多く、注意力の低下などの副作用が見られる。緑内障や下部尿路の閉塞性疾患(前立腺肥大など)の方は症状が悪化するため禁忌。また、小児では興奮症状(過剰運動、不眠、痙攣発作など)が見られることもある。
ビサコジル (bisacodyl)
大腸のぜん動運動促進作用がある医薬品成分で、日本でも便秘症に用いる坐薬の医薬品として承認されている。副作用としては過敏症状、腹部不快感などが報告されている。
■関連情報
厚生労働省ウェブページ (2017年11月9日)
→「「MDクリニックダイエット」と称される製品による健康被害事例の発生について」
外国製健康食品の入手や個人輸入等についての注意事項等→「健康食品や医薬品、化粧品、医療機器等を海外から購入しようとされる方へ (厚生労働省作成2012年版) 」
厚生労働省ウェブページ内の当該製品関連情報
→「「ホスピタルダイエット」などと称されるタイ製の向精神薬等を含有する無承認無許可医薬品による健康被害事例について」
→「医薬品の個人輸入にご注意!!」






