2017年11月18日 19:33
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毎日水をたくさん飲むと尿路感染症を予防できる可能性があることを示した研究結果が米国感染症学会週間(IDWeek 2017、10月4~8日、米サンディエゴ)で発表された。この研究では尿路感染症のリスクが高い女性に毎日1.5Lの水を飲んでもらったところ、飲まなかった女性と比べて尿路感染症を発症する確率が半減したという。

この研究は米マイアミ大学医学部感染症部門のThomas Hooton氏らが実施したもの。対象はブルガリアの閉経前女性140人で、全員健康だが過去1年間に尿路感染症を3回以上経験しており、1日当たりの水分摂取量がコップ4杯程度と日常的な水分摂取量が少ない高リスクの女性だった。

このうち半数を通常の水分摂取に加えて1日当たり1.5L(コップ6杯程度)の水を飲んでもらう群(飲水群)に、残る半数を通常の水分摂取のみとする対照群にランダムに割り付けた。試験開始から6カ月後および12カ月後にクリニックを受診してもらい、水分摂取量を確認するとともに尿の量や濃度、排尿の頻度、泌尿器症状を評価した。また、毎月電話で指示通り水を飲んでいるかを確認するとともに、尿路感染症の症状があると考えられる場合には受診を勧めた。

試験期間中の飲水群での実際の飲水量(平均)は1日当たり1.15Lに増え、水と他の飲料を含めた全体の水分摂取量は1日当たり2.8Lだった。一方、対照群における1日当たりの水分摂取量はその半量に満たなかった。

その結果、試験開始から12カ月後までの尿路感染症の発症数(平均)は対照群の3.1件に対して飲水群では1.6件で、48%の低減につながることが示された。また、対照群と比べて飲水群では抗菌薬の使用も47%低減できたという。

Hooton氏らは「女性は男性と比べて尿道が短いため尿路感染症リスクが高いが、水分の摂取量を増やすことで膀胱から細菌が洗い流されるため予防につながる可能性がある」との見方を示している。

一方、米イリノイ大学感染症対策部門のSusan Bleasdale氏は「抗菌薬の適正使用を目指した取り組みにおいてこの研究結果は大きな影響をもたらす可能性がある」と評価。「尿路感染症に苦しむ女性の数は年間1100~1200万人と推定され、それに対する抗菌薬の処方は16億件に上るとみられているが、こうした介入によって抗菌薬の使用を削減できる可能性がある」と期待を寄せている。

この研究結果が発表されたIDWeek 2017は米国感染症学会(IDSA)、米国医療疫学学会(SHEA)、HIV医学協会(HIVMA)、小児感染症学会(PIDS)が合同で開催する年次学術集会。学会で発表された研究結果は一般的に査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。


More information

Visit the U.S. Centers for Disease Control and Prevention for more on UTIs.

SOURCES: Oct. 5, 2017, media briefing with Thomas Hooton, M.D., University of Miami, clinical director, division of infectious diseases, University of Miami School of Medicine, and Susan Bleasdale, M.D., medical director, infection control, University of Illinois at Chicago; Hunter Wessells, M.D., professor and chair, department of urology, University of Washington, Seattle; Oct. 7, 2017, presentation, IDWeek 2017, San Diego

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