■タイトル
農林水産省がビワの種子粉末の摂取に注意喚起 (171207)
■注意喚起および勧告内容
2017年12月5日、農林水産省がシアン化合物を含むビワの種子粉末の摂取について注意喚起。
■解説
ビワやアンズ、ウメなどのバラ科植物の未熟な果実や種子にはアミグダリン、プルナシンなどのシアン化合物が含まれている。通常摂取される熟した果肉に含まれるシアン化合物はごくわずかである一方、種子を乾燥させ、粉末に加工した食品の場合は、シアン化合物が高濃度に含まれ、健康に影響を与えるおそれがある。
2017年度に国内でビワの種子粉末食品から高濃度のシアン化合物が検出され回収に至る事案が相次いで発生したことを受け、農林水産省はこのような製品を摂取しないよう勧告。これらの製品の中には、シアン化合物の一種であるアミグダリンについて、ビタミンの一種と称したり、がんへの効果を謳うなどして健康に良い成分としている場合があるが、アミグダリンの有効性に関する十分な科学的根拠はなく、むしろアミグダリンの摂取による健康への悪影響が懸念されると注意喚起している。また、料理レシピ検索サイトにおいて、ビワの種子を活用したレシピに関する情報が掲載されていることについて、原料である種子に高濃度のシアン化合物が含まれる場合があることから、ビワなどバラ科植物の種子を使用した料理を食べる場合は注意するよう勧告している。
■関連成分
アミグダリン (amygdalin)
アミグダリンはアンズ、ウメ、モモ、スモモ、アーモンド (ハタンキョウ) 、ビワなどのバラ科サクラ属植物の未熟果実の種子にある仁 (じん) に多く、未熟な果実の果肉や葉、樹皮にも微量含まれている主要なシアン化物産生性配糖体である。咀嚼、消化の過程で有毒なシアン化物を産生する。アミグダリンは果実の成熟に従い消失し、また梅干しや梅酒、梅漬けなどの加工はアミグダリンの分解を促進すると言われているため、通常、これらの加工品に残存するアミグダリンの量は非常にわずかであると考えられる。
欧州食品安全機関 (EFSA) は、アプリコットカーネルおよび生のアプリコットカーネル関連製品のシアン化物産生性配糖体の急性参照用量 (ARfD:ヒトが24時間又はそれより短い時間経口摂取した場合に健康に悪影響を示さないと推定される体重当たりの摂取量) を20μg/kg体重と設定している。
■関連情報
農林水産省ウェブページ (2017年12月5日、英語) →「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう」