2018年1月21日 17:48

■注意喚起および勧告内容
2017年12月5日、カナダ保健省 (Health Canada) がビターアプリコットカーネル摂取のリスクについて再度注意喚起。

■解説
ビターアプリコットカーネル (アプリコット種子の仁) には、体内でシアン化物を産生するアミグダリンなどが含まれ、多量に摂取することでシアン中毒を生じるおそれがあることから、各国の行政機関が摂取量に注意するよう呼びかけてきた。


カナダ保健省では、成人では1日のビターアプリコットカーネル摂取量が3個を超えないように、また小児には摂取させないように勧告。また、アミグダリン (またはレートリル、ビタミンB17) を含み、がんなどの疾病治療効果を謳う製品が販売されているが、カナダ保健省によって疾病を治療する健康製品として承認されているアミグダリン含有製品はなく、未承認の健康製品の利用は重篤な健康被害を生じるおそれがあると注意喚起している。


しかし、最近、ビターアプリコットカーネルがスナックとして摂取されており、中毒を発症するおそれがあることから、カナダ保健省はアプリコットカーネル製品の販売形態について調査を行うとともに、再度注意喚起している。

■関連成分
アミグダリン (amygdalin)

アミグダリンはアンズ、ウメ、モモ、スモモ、アーモンド (ハタンキョウ) 、ビワなどのバラ科サクラ属植物の未熟果実の種子にある仁 (じん) に多く、未熟な果実の果肉や葉、樹皮にも微量含まれている主要なシアン化物産生性配糖体である。咀嚼、消化の過程で有毒なシアン化物を産生する。アミグダリンは果実の成熟に従い消失し、また梅干しや梅酒、梅漬けなどの加工はアミグダリンの分解を促進すると言われているため、通常、これらの加工品に残存するアミグダリンの量は非常にわずかであると考えられる。


 欧州食品安全機関 (EFSA) は、アプリコットカーネルおよび生のアプリコットカーネル関連製品のシアン化物産生性配糖体の急性参照用量 (ARfD:ヒトが24時間又はそれより短い時間経口摂取した場合に健康に悪影響を示さないと推定される体重当たりの摂取量) を20μg/kg体重と設定している。

■関連情報
カナダ保健省ウェブページ (2017年12月5日、英語) →
「Health Canada reminds Canadians of the risks of consuming bitter apricot kernels」