ASCO(American Society of Clinical Oncology 米国臨床腫瘍学会)が、シカゴで5月30日~6月3日に行われました。
毎年開催されているこの学会、がん専門医の中ではもっとも権威のある学会として知られ、日本からも多くの医師が参加されています。
この学会で発表された臨床結果により、がん化学療法のレジメンが変わっていくと言っても過言ではないでしょう。
がん専門薬剤師を目指されている先生方にとっては、とても貴重な情報なので、チェックされている方も多いと思います。
そんなASCOでも、がんとサプリメント、食事などのテーマで発表されることがあります。
今回は、乳がんとビタミンDについての報告があったので、簡単にご紹介します。
カナダ・トロント大学のPamela Goodwin氏らが発表した前向きコホート研究によると、
「ビタミンDの欠乏は、診断時の乳癌患者では日常的にみられる状態で、十分なビタミンDがある患者はたったの24%しかいなかった。今回の調査からは、ビタミンDの欠乏は、腫瘍の悪性度と相関していることが分かった上、長期的な再発や死亡のリスク増加との関連もみられた 」 とのこと。
それでは、サプリメントでの補充はメリットがあるのかという質問に対しては、実際の臨床場面で、骨の健康のための推奨量より高用量のビタミンD補充をアドバイスするのは時期尚早で、今後も検討が必要とのことだそうです。
また、ニューヨークのコロンビア大学K. D. Crewらが発表した研究では、
「乳がんと診断した時点で80%以上の女性がビタミンD不足であること、400 IU/日のビタミンDサプリメントを1年間投与しても血中のビタミンD濃度は十分に上昇しなかった」と報告している。
このような報告が出てくると、日本では、「ビタミンDの大量摂取が、乳がん予防につながる・・・」なんて、出てきそうですが、まだ検討段階ということを知っておく必要があるようです。
ASCOにような権威ある学会で、サプリの研究結果も発表される時代になってきましたね!!!