プロフィール
名前:酒井美佐子
平成4年東邦大学薬学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院にて病棟臨床薬剤師として9年間勤務後、カナダアルバータ大学・アメリカコロラド州立大学病院統合医療センターの研修を経て、平成15年統合医療ビレッジ薬剤部長。平成20年4月よりビオセラクリニック薬剤部長。日本ホメオパシー医学会認定薬剤師。ハーバルセラピスト。
大学(東京薬科大学、東邦大学、城西国際大学)や薬剤師卒後教育講座、一般向け講座にて、薬剤師の立場からサプリメントやハーブの正しい摂取方法などの普及につとめる。
薬剤師向け雑誌「日経ドラッグインフォメーション」連載、「ファーマネクスト」(じほう)、「デトックス・ダイエット」(幻冬舎)著書、「3日で毒素排出」(イーストプレス)監修など。

緑茶の抽出(グリーンティーエキストラ)サプリメントは、ガン患者さん達が、ネットや口コミ、マルチ商品ですすめられることの多い成分の一つです。

しかし、多発性骨髄腫の治療薬である抗がん剤のボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)との併用で、ボルテゾミブの効果が減弱してしまう研究が発表されました。 原文はこちらから

緑茶の抗酸化成分エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)には制がん作用の可能性があるといわれ、ミラクルハーブとされている。今回、研究によりダイレクトに抗がん剤bortezomibのプロテアソーム阻害作用を阻害することをin vitro及びin vivoで確認した。EGCGの作用はボロン酸塩基を含むプロテアソーム阻害剤に特異的であった。よって、研究者は、抗がん剤bortezomibで治療中は緑茶サプリメントを避けるべきと結論付けている。

血液内科の先生方への情報提供を薬剤師の先生方、お願いします!

 

2009年2月10日 12:54 | コメント(0) | トラックバック(0)

がん患者さんの約3割以上が補完代替療法を利用し、5割が関心がある(または準備している)ことが、大阪大学コミュニケーションデザインセンター人間科学研究科医学系研究科の平井先生らの研究から明らかになりました。

また、補完代替療法に最も影響を与えているのは、「家族の期待」です。

癌患者さんのカウンセリングをしていると、サプリメントは特に家族の方が、口コミで聞いてきたものを飲ませているパターンが実に多いのかがわかります。それも、うわさで「癌が治った」と聞いたものを次々と試します。

その行為は、もちろん否定できません。

ただ、気をつけないといけないのは、「患者が嫌々、無理に飲んでいる。食事を減らしてもサプリを飲む」パターン。それから、「治療や症状で、摂取してはいけないサプリがあることを知らない」パターンです。

先週だけでも、肺がん患者さんの「βカロチン高容量」サプリメントの接取、パクリタキセル投与中の「ガーリックサプリメント」の接取、C型肝炎からの肝がん患者さんの「アキウコン高容量」サプリメントの接取に遭遇しました。

エビデンスレベルもありますが、やはりリスクはなるべく避けたいです。。

 

私が参考にしている、がん情報のサイトです。こちら

米国国立がん研究所(NCI)が配信する包括的がん情報、PDQ®(Physician Data Query) を日本語訳したものです。

アメリカの情報なので、食事のレシピとかは、日本人には合わないと思いますが・・・参考になります!

2008年9月 3日 15:35 | コメント(0) | トラックバック(0)

日々、新しいエビデンスが発表されているサプリメント。

そんな 「 サプリメントやハーブの情報はどこで見つけられますか? 」という質問をよく受けます。そこで、私がよく見ているサイトの一部をご紹介します。

参考になさってください。

 

独立行政法人 国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報(日本語)
国民の健康の保持・増進及び栄養・食生活に関する調査・研究を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とした公的機関としての役割をもつ独立行政法人のサイトです。
「健康食品の素材データベース」があり、その中にハーブ素材についての有効性、安全性、参考文献、総合評価について記載されています。
最近、登録された素材が充実し、参考になります。


Herb Med(英語)
アメリカのサイトで、報告されている研究論文にハーブ別にアクセスできるデータベースです。
ハーブを学名から、一般名から検索でき、各ハーブについて、臨床データ、薬理学的な基礎データ、調製法、副作用・相互作用や禁忌といった安全性情報などカテゴリーが分けられており、各々裏付けとなる研究報告を掲載したPubMedにリンクしています。
有料サイトです。ハーブを追及されたい方、情報発信したい方、ハーブを教えている方の必須サイトです。
 
 
 
Sloan-Kettering Cancer Center About Herbs, Botanicals & Other Products
(英語)
アメリカのスローンケタリング癌センターのサイトで、サプリメントやハーブについての優秀なデータベースです。
アメリカの癌治療で用いられているサプリメントの内容も充実しています。
AHCC、サメ軟骨、タヒボやゲルマニウムの情報もあります。
このサイトが無料なのは、すばらしすぎです!

 
Fact Sheets on Dietary Supplements (英語)
アメリカ NIH(米国国立衛生研究所)の一部門であるODSがサプリメントに関しての情報を発信しているサイトです。
一部NCAMにリンクされています。


 
da063014s.jpg

2008年8月27日 15:36 | コメント(0) | トラックバック(0)

 
ndi200.jpg
昨年10月から連載スタートになりました「薬剤師必修!サプリメント基礎講座」が、もうすぐ1周年になります。

連載依頼を受けてから、どのような形式で薬剤師の先生方にお役にたてるだろうと編集者との協議を重ね、出来上がったのがこの「サプリメント早わかり表」と「エビデンスを解説し、不向き・向き」をコンパクトにまとめたものでした!

いつも日経DIのプレミアムページを切り取ってくださり、ファイリングされて下さっている先生方、ありがとうございます。

サプリメントを勉強するにおいて、一番興味のあることは何でしょう?

薬剤師としては・・・「薬との相互作用」 「有効性エビデンスレベル」 「禁忌」 「作用メカニズム」 「副作用」 が大きなテーマでしょう。

日本では、シニア世代の人口を占める割合が多くなり、この世代は健康問題にとても興味を持ち、また処方薬もたくさん服用している世代ともいえます。

アメリカのリサーチでは、この世代の約30%が少なくとも1種類のサプリメントを摂取しており、医薬品との相互作用による危険性が懸念されています。

このようなこともあり、アメリカを中心とする研究施設で、「医薬品-サプリメントの相互作用のメカニズム」が多く研究され、発表されています。

薬物動態的相互作用に関連したCYP (特に1A2 、2C19 、2E1、2C9、2D6、3A4)は、薬物の代謝に関与する代表的な酵素であるが、なかでもCYP3A4 は、全医薬品の約50%の代謝に関与している分子種であり、サプリメントである「セントジョーンズワート(代謝誘導)」や「ガーリック(代謝誘導)」など注意が必要です。

相互作用のエビデンスレベルも In vitro や動物実験からの低いレベルから、RCTや臨床試験、コホート研究からの高いレベルまで分類されていて、セントジョーンズワートやガーリックなどは比較的高いレベルで報告されているのです。

低いレベルだからといって、注意しなくてもいいというわけでは、ありませんのでご注意を!

 

それでは、今までの4か月分の連載を添付しておきます。活用していただけたら、うれしいです♪

2007.10 脂質異常症.pdf

2007.11 糖尿病.pdf

2007.12 かぜとインフルエンザ.pdf

 

2008.01 高血圧症.pdf

 

 

2008年8月25日 15:26 | コメント(0) | トラックバック(0)