プロフィール
名前:酒井美佐子
平成4年東邦大学薬学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院にて病棟臨床薬剤師として9年間勤務後、カナダアルバータ大学・アメリカコロラド州立大学病院統合医療センターの研修を経て、平成15年統合医療ビレッジ薬剤部長。平成20年4月よりビオセラクリニック薬剤部長。日本ホメオパシー医学会認定薬剤師。ハーバルセラピスト。
大学(東京薬科大学、東邦大学、城西国際大学)や薬剤師卒後教育講座、一般向け講座にて、薬剤師の立場からサプリメントやハーブの正しい摂取方法などの普及につとめる。
薬剤師向け雑誌「日経ドラッグインフォメーション」連載、「ファーマネクスト」(じほう)、「デトックス・ダイエット」(幻冬舎)著書、「3日で毒素排出」(イーストプレス)監修など。

いよいよ、日本で初めての西洋ハーブOTC医薬品が発売されます。

日本では2007年3月に厚生労働省の通知により、西洋ハーブを有効成分とする医薬品承認申請のルールが定められました。

日本初の西洋ハーブOTCは、、、

エスエス製薬株式会社の「アンチスタックス」(第1類医薬品)。

内服薬として日本初となる軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善するOTCです。

ヨーロッパにおいて古くから血管(静脈)の病に良いとされている赤ブドウ葉を原材料として、医薬品としての有効性と安全性、品質を確保した天然由来の「赤ブドウ葉乾燥エキス混合物」(AS195)が「アンチスタックス」の有効成分です。

 

Natural Medicines Database から 商品名 「Antistax」を検索すると、

Each capsule contains:Red Vine Leaf Extract180 mg. Other Ingredients: Gelatin , Dried Glucose Syrup, Silicon Dioxide, Talc, Maize Starch, Magnesium Stearate, Colours (E 172, E 171).と出てきます。

有効性は、

Taking grape seed extract or its proanthocyanidin constituents orally seems to reduce subjective symptoms of chronic venous insufficiency and improve venous tone. Additionally, in one clinical trial, a specific grape leaf extract, known as red vine leaf extract (AS 195, Antistax, Boehringer Ingelheim), was given orally to patients with stage I and stage II chronic venous insufficiency. Leg edema significantly decreased after 6 weeks of treatment compared to placebo. Doses of 360 mg and 720 mg daily were both effective, but the higher dose produced a slightly greater effect. Patients also reported significant decreases in subjective complaints such as tired or heavy legs, tension, and tingling and pain after 12 weeks of treatment.

医薬品との相互作用は、

Grape juice is thought to induce cytochrome P450 1A2 (CYP1A2) metabolism and may decrease plasma levels of CYP1A2 substrates.

用量用法は、 

For chronic venous insufficiency, one clinical trial used a standardized red vine grape extract AS 195 (Antistax, Boehringer Ingelheim). The dose used was 360 mg or 720 mg once daily.

副作用報告は、

Grape leaves have been reported to cause gastrointestinal discomfort, diarrhea, dyspepsia, dry mouth, and retching. Other adverse effects included infections, headache, and musculoskeletal disorders. One case of leg hematoma following a minor trauma was also reported in a person using grape leaf extract.

 

日本のアンチスタックスも、2カプセル(1日量)中赤ブドウ葉乾燥エキス混合物 450mg(赤ブドウ葉乾燥純エキスとして360mgに相当)。

有効性を示すエビデンスもありますし、私も適応患者さんに勧めてみようと思います。

 

 

 

 

2013年5月30日 11:39 | コメント(0) | トラックバック(0)

最近、健康雑誌や健康食品情報誌にたびたび見かける「ロコモ」。

ロコモというのは、2007年に提唱されました。

「日本整形外科学会では、運動器の障害による要介護の状態や要介護リスクの高い状態を表す新しい言葉として「ロコモティブシンドローム(以下「ロコモ」)(locomotive syndrome)」を提唱し、和文は「運動器症候群」としました。」

つまり、「運動器の障害による要介護の状態および、要介護リスクの高い状態」ということで、自分での気づきが大切ということみたいです。

日本のような超高齢化社会では、必要なカテゴリーですね。

最近、NHKでも「40代から注意!ロコモティブシンドローム」って番組が放送されたんですよね。

わあ~~、私も当てはまるじゃないですか!

足腰の骨、筋肉、関節の重要性。今から、しっかり予防していかないといけませんね。

日本整形外科学会のロコモパンフは→ こちら★

それとともに、骨格筋の減少を意味する「サルコペニア」は、ロコモとともによく使われるキーワードになります。

サルコペニアは、高齢者の運動量減少や、食事による蛋白質摂取の減少により引き起こされます。

健康食品分野でも、抗ロコモ、抗サルコペニア商品が流行り始めそうな予感ですね。

つまり、アミノ酸やプロテイン、軟膏系サプリやヒアルロン酸、コラーゲンが注目されるわけで、高齢者向けのプロテイン飲料やアミノ酸ドリンクなど、どんどん開発されそうです。

確かに、長寿の元気なご老人は、よくお肉を召し上がっている・・・。

2012年10月24日 14:55 | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年ごろから、世界中で、注目されているビタミンがあります。それは、「ビタミンD」です。

 

2010年に、「認知症とビタミンD」「うつ病とビタミンD」「乳がんとビタミンD」「膀胱がんとビタミンD」「大腸線種とビタミンD」など、多くの論文が発表されました。

 

上記の疾病の人は、血中のビタミンD濃度が低いことがわかり、たちまち注目されたのです。

血中のビタミンDの濃度は、「血中25-OH-D値」として検査ができますが、残念ながら自己負担になります。

 

日本の正常基準値は1540ng/mlとなっていますが、世界的には、値が30 ng/ml未満では不十分、20 ng/ml未満で欠乏症、10ng/ml未満で重度欠乏症と判断されます。つまり、30 ng/ml以上の血中濃度が望ましいとされています。

 

この、「血中25-OH-D値」は、文献によって単位が異なることに注目ください。

日本では、「ng/ml」が使われますが、海外では「nmol/L」となっていることがあります。

 

「30 ng/ml」=「75nmol/L」ですので、注意しながら文献を読むことにしています。

 

ビタミンDはサバ、サケ、イワシなどの食事由来以外に、紫外線、つまり日光浴によって皮膚で合成されます。

 

皮膚での合成量は、紫外線暴露量に関係するため、血中ビタミンDは季節性の変動があります。2011年に日本人の疫学調査が発表され、日本人の潜在的ビタミンD不足が明らかになりました。オフィスワーカーのビタミンD欠乏の割合は7月が9.3%、1146.7%と日光に当たらなくなるほど、ビタミンD欠乏がみられたのです。

 

つまり、秋から冬にかけては、半数の人がビタミンD不足で、補充が不可欠ということになります。

 

疾病とビタミンDの関係がわかりつつあることから、アメリカでは新しいビタミンD推奨摂取量が改訂されました。

170歳 600IU15μg)、70歳以上 800IU20μg)、上限が4000IU100μg)です。

一方、日本人の摂取基準は15歳以上で200IU5μg)、上限が2000IU50μg)とかなりの差がみられます。

 

昨年の国民健康栄養調査では、平均摂取量は280 IU7μg)でしたので、十分摂取されていると国内では思われています。

 

 

ビタミンDと言えば、カルシウムやリンの吸収を促進して骨を健康に保つ、骨の形成に必要なビタミンで、骨粗鬆症の治療や予防で使われていましたが、

 

今や、免疫調整作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用などが見出され、健康保持や疾病予防のためにビタミンDサプリメントをおよそ1000IU 25μg摂取することが海外では推奨されています。

 

 

ただし、腎障害、高カルシウム血症の方は摂取できませんので、摂取したい場合は、専門家と相談し、可能ならば「血中25(OH)ビタミンD値」をフォローしていきたいものです。

 

 

2012年9月18日 12:03 | コメント(0) | トラックバック(0)

アメリカの健康雑誌からこんな記事も見つけました。

最近、アメリカでブームの 「ブレインフード」(脳内活性食品)。

もっとも有名なのは「イチョウ葉エキス」で、サプリメント売上ベスト10には必ず入っている成分です。

世界的に高齢化が進んでいる今、生活習慣病予防のなかでも特に「ブレインフード」が注目を集めています。

その中でも、注目の成分は「ルテオリン」!

日本のハーブ、「紫蘇(シソ)」に多く含まれている成分です。

University of Illinois の研究者たちは、「ルテオリン入り食事」と「なしの食事」を与えたラットでは、学習能力と記憶力の差があることを報告しています。

また脳内の炎症反応を低減させたとも。

ルテオリンはフラボノイドで、抗酸化作用のある成分で、ハーブや野菜に含まれます。

下記のものに多く含まれますが、

特に「ペッパー」「アーティーチョーク」「フローズンブルーベリー」には多く含まれていますので、

高齢者ほど、この成分が入っているものを食べることは大切かもしれません。

これから「ブレインブースター・サプリメント」にも多くブレンドされてくる成分としても注目ですね!!!

  • celery hearts (higher than celery stalk)
  • peppers (hot)
  • rutabagas
  • spinach
  • parsley
  • thyme
  • peppermint
  • basil
  • artichoke leaves
  • rosemary
  • sage
  • peppers (sweet)
  • olive oil
  • lemons
  • water spinach
  • lettuce
  • kohlrabi
  • kale, Chinese
  • gourd, dishcloth
  • celeriac
  • cauliflower
  • brussel sprouts
  • chamomile tea
  • beets

 

2011年3月 3日 10:33 | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年の「米国人の食生活ガイドライン」の改訂版が公表されました。

2005年以来となる今回の新しい改訂ガイドライン(第7版)では、米国人の塩分摂取減少に焦点が当てられています。

米国農務省(USDA)による「米国人の食生活ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans 2010)」では、

1日の塩分摂取量をほとんどの人で2,300mg未満に、

51歳以上、すべての黒人、および高血圧、糖尿病、慢性腎疾患患者では年齢に関わらず1,500mg未満にするよう推奨しています。

現在の肥満の蔓延およびそれに付随する慢性的な健康問題を考えると、1,500mg未満という基準は最終的に米国全国民の約半数に当てはまるといいます。

http://www.cnpp.usda.gov/Publications/DietaryGuidelines/2010/PolicyDoc/PolicyDoc.pdf(P21)

 

日本の食塩摂取目標量は、「日本人の食事摂取基準2010より」

成人男性 9g未満

成人女性 7.5g未満

食塩摂取量(g)=ナトリウム摂取量(mg) X 2.54 /1000 で計算すると、

成人男性 3,543.3mg

成人女性 2,952.8mg

とかなりの差がみられることが分かります。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000xtwq-img/2r9852000000xu2r.pdf(P20)

生活習慣予防の各国の取り組みに差がみられるようです。

塩分過多による疾患の方(高血圧、慢性腎疾患、胃がんなど)は、かなりの減塩が必要ということなのでしょうか。

 

 

2011年2月15日 15:37 | コメント(0) | トラックバック(0)