先週、健康産業新聞社の取材があり、記者さんからある本をすすめられました。
さっそく、週末購入し読んでみました。
取り上げられている代替医療 「ホメオパシー」「鍼」「カイロプラクティック」「ハーブ療法」などなど。
「主流の医療に対する不満とともに、科学に対する反感もまた、多くの人が代替医療に惹かれる理由になっているようにみえる。本書では、とくに注意を要するキーワードとして
「ナチュラル」「トラディショナル」「ホーリスティック」の三つを挙げているが、これらはまさしく科学的医療のイメージの裏返しだ。」(本書より引用)
記者さんからは、こういう意見もあることを知っておいたほうがいいから・・・とすすめてくださいましたが、
代替医療のエビデンスはもちろんのこと、
しゃ血の歴史(ドイツに研修に行った際、ヒル療法にチャレンジした私・・・。当時は肩にベンツマークがくっきりと残ってしまい、泣きました・・・涙)
ワシントンの死因、ナイチンゲールの統計学など、、、ほかのプラスアルファな情報は、とっても楽しかったです。
こういう本もあるんですね。
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Posted by Dr.A.A 2010年3月11日 14:01
良書ですよね。
大変、勉強になりました。
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Posted by 酒井美佐子 2010年3月11日 15:07
Dr.A.Aさま
コメントありがとうございました。
代替医療に関するプラス面、マイナス面、両方知っておくのは大切なこと私も勉強になりました!
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Posted by m.b. 2010年4月18日 16:41
私も早速、この本を読んでみました(調剤薬局勤務の薬剤師です)。
そもそも、メディカルサプリメントアドバイザーの資格を取ったのも、サプリメントに治療上の効果が有るのか無いのかを知りたかったからなんですが・・(実際は、サプリメントに関しては日本では「薬事法」で効果効能を謳うことはもちろん禁止されておりますので、それとは別にして、効果が有るのか無いのかを知りたいという思いがありました。)
受講中のテキストには、いろいろな代替療法がコラム等で紹介されており、興味深く読ませて頂きました。しかし、やはり本書でも取り上げられていた「ホメオパシーのレメディー」に関しては、著者と同様な違和感を感じます。「ワクチン」のように少量の弱毒化した病原体を体内に入れることで、免疫効果を作り出すのか・・また、「水は答えを知っている」江本勝著であったように、人の心が水に転写される様に(本当にそうなのかは分かりませんが)、植物の情報が水に転写されている状態なのか・・等いろいろ考えました。しかし、EBMに基ずく医療という点では、臨床試験で効果が得られなかったという以上、「ホメオパシー」のような代替医療を紹介することには問題があるように思います。プラセボ効果の議論は別として、このような代替療法で示された結果(二重盲検法で効果がないことが証明されたこと)に関して、酒井さんはどのような見解をもたれますか?
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Posted by 酒井美佐子 2010年4月20日 10:16
m.b.様、コメントいただきありがとうございました。
m.b.さんもこの本を読まれたのですね。
私は、4年ほど前に「日本ホメオパシー医学会の認定薬剤師」の資格をとりました。とった理由は、当時、代替医療のなかでホメオパシーという療法は、社会的な流れ(民間レベルで流行りつつあり)があり、諸外国でも薬局でホメオパシーレメディが多く売られていた現状も知っていましたので、興味があり受けてみました。その講義は、薬学部の物質的なものとは全く違い、レメディを覚えるとときにものがたりを覚えるような、とても不思議な感じでした。学会は多くの医師や獣医師、歯科医が中心で、薬剤師はほんの数名合格していました。私は、当時、統合医療クリニックに勤務しており、多くの患者さんがホメオパシー療法を受けていました。レメディには、緊急時の対策のものと、体質を改善させるものに別れると思うのですが、レメディによって改善している例を見てきたことはあります。
MSAの講座の中で、コラムでいくつかホメオパシーが取り上げられていますが、これはあくまで、「こういた代替療法も世界中で使われていることを知る」ということだと思います。この本の内容は、もちろんエビデンスに基づいて書かれていることと思いますが、全てがこれに当てはまるかどうかは不明だと思い、私の中では、参考程度にとどめております。
患者さんが治癒をされていく段階で、「プラセボ効果でも良くなればいい」という考えと「何が効いたのかはっきりさせたい」という考えの医療者&患者がいると思います。正直、、、ホメオパシーは私は前者のほうかな・・・と思っています。
そして、日本の医療の中で、今、民間レベルの資格をかざし医療行為のようなことをしている人もいるのが問題になっています。私たち、薬剤師は、ホメオパシーという内容を知ることで患者さんに啓蒙活動をしていかなきゃとも思います。実際、私の患者さんの中で、民間でのホメオパシーを信じ、膵臓がんでしたが、マーカーが上がっているにも関わらず、素人のホメオパスはレメディの好転反応と言い続け、クリニックに来た時はどうしようもなく悪化している状況で、とても憤りを感じたこともありました。でも、患者さんは言いました「私がそれを信じたので、くいはないんですよ」って。びっくりしました。でも、そんなことがあってはならないと今でも思います。特にガンなどの命にかかわる人に、ホメオパシーだけでどうにかしようってこと自体がありえないように思います。精神的なことから病気になる方はたくさんいるので、そんな人がこれに頼り、自分をあげられるなら、どうでしょう。。。
結論は当分出ないと思いますが、レメディを使用している患者さんは多くいるので、エビデンスに基づいた医療がメインであることは伝えていきたいです。
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Posted by m.b. 2010年4月24日 02:22
早々のお返事、ありがとうございます。とても参考になりました。
一般の多くの方々が、代替医療に大きな関心を寄せている今、私達のような医療従事者こそ広く知識を得ておくことは非常に大切で必要な事だと私も思います。
現在の治療方法や薬に関して(特に難治性の病気に関して)なにか限界のようなものを感じていた時期があり、そんな時に「代替療法」の存在を私は知りました。まるで救世主のように思え、これこそ患者さんに必要なものなんだ!と感動していました。
当時は「ホリスティック」という概念が、何か奇跡的に治癒する力があるかのようにも思えました。しかしこのような心情は、本の中にも書いてありましたが、「現在の治療への虚無感」のようなものが、他の治療法(代替療法)へ関心を向けさせる大きな一因となっているんだろう、と気づかされました。私もまさにそんな感じで、科学的根拠がないにも関わらず「効きそう」だと思いましたから。
実際に一般の病院に診察にかかると、エビデンスに基づいた治療効果について正直に伝えられますから、患者さんとしては不満と不安が多少なりとも残るかも知れません。それに比べて代替医療では、とても期待感に満ちた話が展開され、それだけでも治った気持ちになり、プラセボ効果も期待できるかも知れません。
ですが、、酒井さんのコメントにもありましたように、膵臓ガンのような方に「好転反応」や「プラセボ効果」だけで良いはずがありませんよね。
安易な言葉は避け、臨床データに裏付けられた効果をしっかり提示していく姿勢を、私も是非心がけたいと思います。
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Posted by 酒井美佐子 2010年4月26日 10:49
m.bさま
そうなんですよね。「ホリスティック」という概念が「奇跡的な治癒力」みたいに思っている人は多いですね。精神的な疾患はそれでも、いいと思いますが。
そんな中でも、たまに奇跡的にがんが消えたりするのを目の当たりにしますと、何が効いたのかわからなくなることもありますから、人間の体はまだまだわからないことだらけなんだと思います。